【コロナ禍に知りたい法律コラム⑥】ウワサの「テレワーク」にまつわる法律問題!

みなさん、こんにちは!ついにワクチン接種1回目を終えたところ、たちどころに発熱しダウンした弁護士の福永智子です。
もう普通に待っていては永久にワクチンが回ってこない!…と悟った我々姉妹は、妹(税理士の福永瑞恵)がスマホ片手に待ち構え、日付がかわる瞬間に予約サイトの「予約ボタン」を早押しするという、時間とITスキルを持つ者しかできない涙ぐましい努力の果てに、ようやく予約を勝ちとりました(遠隔地だったけど…)( ;∀;)

しかし、先進国のはずの日本で、こんな早い者勝ち・パン食い競争状態のワクチン接種って、どう見てもおかしい…
本来は、高齢者、既往症のある方、エッセンシャルワーカー…と、必要性・重要性が高いゾーンから順番に割り当てるべきだったはず。それなら、順番が遅い人も納得だったはず。間違っても、政府と仲良しの大企業や吉本興業芸人やユーチューバーだけが真っ先に打つという、不可解な現象は起きなかったはず。
…なんだか、今のこの国の真の優先順位を垣間見た気がします。

さて、まさに新型コロナの感染拡大がピークを迎えていた数週間前、菅首相が経団連の会長に「テレワークの普及を!」と申し入れる光景がTVで報道されていましたね。
今回は、このコロナ禍で急激に企業に浸透したテレワーク(在宅勤務・リモートワーク)に関する法律問題について、国連の国際労働機関(ILO)への派遣経験を持つ弁護士福永が解説します。

1 テレワークも労働時間管理が必要!
まず知っておいていただきたいのは、テレワークにおいても、通常の勤務と同様、使用者には労働者の毎日の始業・終業時刻を把握する義務(労基法・労働安全衛生法)があるということです。
そもそも労働時間を適切に管理しないと、時間外労働手当をいくら支給すべきかを確定できません。このため、時間管理に問題があった場合、後々「残業代が払われていない!」という主張を従業員から受ける可能性があります。
また、労働時間の管理ができていない中で長時間労働による労働災害(労災)が発生した場合、使用者は安全配慮義務違反を理由に損害賠償責任を負う可能性もあります。
というわけで、なんとかして労働時間を管理しなきゃいけないというのが、テレワークで解決すべき課題の一つです。

では、どんな風に管理すればいいのでしょうか?
管理の仕方については、国から各種ガイドラインが出ていて 、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認するのが原則ですが、自己申告制でもOKとされています。

この点に関して、「毎日時間を管理するのはめんどくさいので、外回りの営業職などに利用される“事業場外のみなし労働時間制”(=労働者が事業場外で業務に従事し、かつ労働時間の計算が困難な場合に、みなし時間により労働時間を計算する制度)をテレワークに利用したらいいのでは?」と思われる方もいるかもしれません。
しかし、同制度は、使用者の具体的な指揮監督が及び、労働時間の算定が可能な場合には、適用されません。したがって、テレワークの場合、ネットや携帯電話等によって随時使用者の指示を受けながら労働しているケースとか、会社が管理できるパソコンが常時インターネットに接続されており、上司から指示があったらすぐに対応しなければいけないケースであれば、実際に労働時間の算定が可能なので、「事業場外のみなし労働時間制」は適用できません。気をつけましょう。

2 就業規則の変更が必要
テレワークの導入のように、コロナ渦で労働時間や賃金制度、労働場所や業務内容を変更したい場合、就業規則を変更する必要があります。
また、テレワークでは、PC、モニター、電話等の通信機器や通信費について、会社と従業員のいずれが費用を負担するかが問題になりますが、もし従業員に費用を負担させる場合は、そのことを就業規則に規定しなければなりません(労基法89条5号)。
変更の手続きについては、従業員が10人未満で就業規則の作成義務がない事業場の場合、「労働条件通知書」で個別に通知を行えば問題ありませんが、10名以上の会社は、意見聴取、労基署への届出、従業員への周知等の手続が必要となります。

「…なんだかテレワークの導入って、法律的な問題が多くて大変そうだなぁ」という、そこのアナタ!
テレワーク導入に関する補助金があり、これは、通信機器の導入費用だけじゃなく、就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更についての外部専門家によるコンサルティング費用なども補助対象になります。ぜひ活用してください。
また、中小企業経営強化税制の適用ができる設備の対象に、「テレワークのための設備」も追加されました。つまり、テレワークの設備投資には税額控除もきくので、覚えておかれたらいいと思います。

【参考】コロナに関する企業向けの資料 
本コラムではここまで従業員対応について色々と連載してきましたが、もっと詳しく知りたい方のために、企業向けの参考資料をご紹介します。
まず、厚生労働省の「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業向け)」です。これは、主に労務関係で不明な点が出た際に参照することを想定して記載されたものです。
また、東京弁護士会の中小企業法律支援センターHP掲載の「新型コロナウイルス対策に関する各種Q&A」も参考になります。これは労務面以外にも、資金繰り対応、下請取引関係、契約・取引関係についても、詳しく記載されています。