【コロナ禍に知りたい法律コラム④】コロナ渦での非正規労働者の雇止め・解雇・内定取り消しで気をつけること!

全国も広島も、依然として新型コロナウイルスの感染拡大が続いていますね。
皆さん、ワクチン打てましたか!?広島市は全然ワクチン接種の予約が取れませんっ(笑)。
この状態で、「若者がもっと接種に積極的になってくれないと~」という某東京都知事の発言を聞いたり、なぜか優先接種をお受けになっている某吉本興業タレントやユーチューバー出演の「みんなで行こうよ、ワクチン接種✨」的な政府CM(注:製作費はすべて税金。おそらく制作は電通。)を見たりすると、イラっとするのは私だけでしょうか。

さて、国連の国際労働機関(ILO)への派遣経験を持つ弁護士福永智子がお届けしている、この「コロナ禍で知りたい法律コラム」。
前回は、「コロナで経営がしんどいからと言って、すべての解雇が法律上有効になるわけではないから、企業や事業者の方々は気をつけましょうね」ということをご説明しました。
今回は、「じゃあ、非正規労働者の場合はどうなの?」というお話をしますよ!レッツ・スタート♪

1 コロナ禍での有期雇用社員に対する契約期間中の解雇は?
まず有期雇用社員(※)を契約期間の途中で解雇するには、法律上、「やむを得ない事由」が必要であるとされています(労働契約法17条)。
そして、この「やむを得ない事由」とは、「契約期間満了を待つことなく直ちに解雇を終了せざるを得ない重大な事由」と解されていますから、実際には、ほとんど認められません
つまり、たとえコロナ禍であっても、よほどの重大事態であることが証明できない限り、有期雇用社員は契約期間満了まで雇用していただく必要があります。
雇用するということは、もちろん給料(休業の場合であれば、休業手当)も支払う必要があります。コロナ禍での休業手当の要否については、前々回のコラムで詳しくお話していますので、ぜひそちらもご参照ください。

※「有期雇用社員」とは、契約で「6カ月」「1年」などと雇用期間が決まっている非正規社員のことで、会社での名称(呼び方)は必ずしも関係ありません。「契約社員」の方々はこれに当たりますが、「準社員」・「嘱託」・「非常勤」・「臨時社員」も、多くが有期雇用契約を結ぶ「契約社員」であるケースが多いと思います。「パート・アルバイト」や「派遣社員」の方々は、ご自身の契約に期限の定めがある場合、有期雇用社員に当たります。

2 コロナ禍での有期雇用社員への雇止めは有効か?
つぎに有期雇用社員の雇止め(契約期間満了時に雇用の継続を拒絶すること)が法律上認められるかどうかは、その労働者が、いわゆる「雇止め法理」が適用される人かどうかで、結論が変わります。

この「雇止め法理」というのは、①過去に反復して契約が更新されている場合や、②契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由がある場合に適用されます。
雇止め法理が適用されると、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない限り、雇止めができないとされています(労働契約法19条)。

そして、この「合理的理由」は、前回コラムでお話しした整理解雇の4要件によって判断されることになります(正社員の解雇に比べると、判断の厳しさは若干緩みますが。)。
すなわち、雇止め法理が適用される有期雇用社員さんに対する雇止めが有効となるためには、①人員削減の必要性、②解雇回避努力義務、③人選の合理性、④手続の適正性が要求されるということです。(な、なんて複雑な話…(;゚∀゚)=3ハァハァ)

コロナ禍でこの4要件が具体的にどう判断されるのかについては、前回のコラムで詳しくお話していますので、ぜひご覧いただきたいのですが、結論としては、雇い止めが適用される有期雇用社員であれば、正社員の方とほぼ同様に、「コロナで経営がしんどいから雇止めしま~す」ということは、簡単には認められないということになります。

逆に、雇止め法理が適用されない有期雇用社員の方々については、契約どおり、期間満了時の雇止めは有効となります。

3 コロナ禍での内定取り消しの有効性
新入社員の内定取り消しについては、前回のコラムでご説明した「整理解雇の4要件」から有効か無効かが判断されます(正社員よりは判断の厳しさは若干緩みます。)。
そうすると、やはりコロナ禍であっても、内定取り消しが適法とされるには、それなりにキビシイ条件が課せられているということです。

4 まとめ
以上のとおり、正社員以外に対する人員整理についても、たとえコロナがきっかけであっても、法律上有効とされるハードルはそれなりに高いので、企業は事前に法務リスクを十分に検討してから、人員削減を行うべきでしょう。

逆に、労働者の方々は、ご自身の解雇・雇止めなどに疑問がある場合、労基署、労働組合、弁護士などに一度ご相談いただくと良いと思います。

5 (重要なおまけ)解雇なのに退職届を書かせる!?
ところで、正社員・非正規社員を問わず、このコロナ禍において、解雇なのに労働者に「退職届」を書かせようとする企業が出てきている、という報告もあります。

「解雇」は、使用者の一方的な意思で従業員をやめさせるものなので、前回コラムでご説明したように、これが適法とされるためには厳しい4要件があります。
他方、「自主退職」とは、労働者の一方的な意思で辞めるものなので、退職の意思表示から一定期間経てば、それだけで有効です。
そうすると、企業からすれば、自主退職にしてしまえば、「解雇が有効か無効か」という問題を回避できるわけです。

しかし、労働者が自主退職扱いとされることに納得していなかったり、あるいは、企業の説明が不十分なままに退職届にサインさせたりした場合、やはり後々紛争になりやすいです。
さらに、労働者が退職を拒否しているにもかかわらず、会社が執拗に退職勧奨を繰り返した場合には、違法な退職の強要となり、損害賠償請求の対象となることもあります。
ですので、少なくとも労働者本人が退職を希望していないのに、なんやかんやと言いくるめて退職届にサインさせるようなことは、企業にとってもリスキーですから、ゼッタイやめましょう。

そして、たとえ労働者が真に納得して退職する場合も、失業手当が受け取りやすいよう離職理由を「会社都合」としたり、残っている有給休暇は買い取るなど、労働者も納得できるような退職条件を模索する方が、労働者にとって良いのみならず、企業の法務リスクの軽減の観点からも望ましいと思います。

逆に、労働者の方々は、使用者から意に反する退職を迫られても、退職したくない場合は「退職する意思はありません」と明確に伝えて(口頭でもいいですが、文書やメールといった証拠に残る形で伝える方が望ましいです。)、解雇にしてもらうか、または退職するにしても「会社都合」にしてもらうことは譲ってはいけません。
これは、「自己都合」の退職にされてしまうと、後々受け取れる失業手当などの条件面で不利になるからです。
「もう”自己都合”にされて退職してしまった!」という方は、事後的に会社都合にする道も残されてはいるので、早めに弁護士か労基署に相談してくださいね。