私が税務訴訟に特化した理由をぶっちゃける!〜その⑩〜

前回から「審査請求での失敗は訴訟でも致命傷になりうるので、審査請求の段階から弁護士を入れるべし」というお話をしています。今回は、そのカラクリ(理由)について熱弁いたします。

<理由 その10:テルミー、テルミー、テルミードゥ ー審査請求(もっと言うと、再調査請求)の段階から、はやく当事務所に相談してほしいからー>

結論から申しますと、裁判所は、国税不服審判所の判断をめちゃめちゃ重視します(これは私が接した全ての裁判官も口を揃えて言われたことです。)。

その理由の一つは、裁判官が国税審判官より税法や税務を知っているわけではないので、専門家を大勢集め時間をかけて出した審判所の判断を重く見るのは、当然だということ。

もう一つは、審判所が、裁判所には無い「職権調査権」を持っているからです。

「当事者主義」を採用している日本の裁判所は、自ら事実関係を調査する権限が無いため、「本当のところは、どうなんだろう?」と思っても、当事者(納税者or課税庁)の出す証拠のみから判断するほかありません。(出された証拠が不十分なら、証明責任を負う側を負けさせて終わりです)

しかし、「適正な課税関係の確保」という使命のもと、真実を発見すべく「職権調査主義」を採用している審判所は、「証拠が足りない!」と思えば、直接、誰に対しても調査を実施することができ、自らの集めた証拠に基づいて判断できるのです。恐ろしいですね! 

裁判所からすれば、そんな強力な調査権限を持つ審判所が認定した事実なら、基本的に信頼に値すると思うのは自然なことでしょう。

実はこの「職権調査」がクセモノです。

まず、「審判所が何をどこまで調査しなければいけないか」は決まっていないため、めちゃくちゃ調査する審判官もいれば、全然調査しない審判官もいるし、(意図してやるかどうかは別として…)一方に有利な情報ばかり収集されてしまうこともあります。

さらに、「具体的にどんな調査を行い、いかなる証拠から何故その事実を認定したのか」という判断プロセスについて、審判所が説明する必要は一切ありません。そう、職権調査は完全にブラックボックスなので、その調査が果たして妥当だったのか、事実認定のプロセスがおかしくないか(偏った調査や薄い証拠から断言していないか?推論過程がおかしくないか?)といったことを、当事者が検証したり反論したりする術はありません(もちろん、裁判所にも分かりません。)。

この点について私自身は、審判官も人であって万能ではない以上、調査や事実認定を誤ることはあるので、「職権調査が有効に機能しているのか?」を審判所内部のチェックにゆだねるほかない現在の制度は、当事者の防御の機会の担保という点では課題があると思っています。

審判所の調査段階で為されるがまま調査を受けてしまうと、「過剰に証拠を提出させられた!」とか、「届いた裁決書を見たら、知らないところでいつの間にか不利な事実認定がされていた!」という事態も起き得るのです。

審査請求でこんな不利な状況に陥ってから、「訴訟で覆しておくれ。」と弁護士にパスされても、リカバリーのハードルが格段に上がっており、時には致命傷になっているということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

また、ロジックの面でも、審判所は当事者の主張に拘束されないので、課税庁の主張以上に理論構成を強化(バージョンアップ)した上で、「請求棄却」の裁決を出すことも多々あります。そうすると課税庁は、審判所にもらった「入れ知恵」を手に(キツイ言い方ですみません。今は弁護士として納税者の立場からお話しています。)、訴訟で裁決書そのままにロジックを挿げ替えて主張することも可能となります。あな、おそろしや。

したがって、審査請求の段階から事件の内容や進行を見極めて(場合によっては、審査請求から手を引くことが必要な時もあります。)、その先の訴訟も見据えながら対応することがとても重要なので、「審査請求は税理士だけで試してみよう。」ではなく、弁護士(ただし税務訴訟を熟知した人限定。)と組んで対応することを強くお勧めします、ホントに。

当事務所は税理士の先生方との共同受任のご依頼も受けていますので、よかったらご相談ください(…はっ!結局、宣伝してしまったわ!)。

その⑪につづく・・・