私が税務訴訟に特化した理由をぶっちゃける!〜その③〜

今日は、これを知らなきゃ税務訴訟では完全に門前払い、租税法にとって大大大前提となる考え方を説明します。しかも、この考え方が租税法にしかない特異なものであることから、弁護士のみならず裁判官の中にも、この大前提が欠落してしまっている方が散見されること、また、それが納税者であるみなさんにとって、非常に不利な状況を引き起こす可能性があることについても語っていきます!

<理由 その3:租税法律主義や証明責任を分かっていない法律家によるトンデモ税務訴訟を見過ごせない!>

前回述べたように、一口に「税法」と言っても、たとえば個人事業主に適用される所得税法と、企業に適用される法人税法では、法律が前提としている発想や常識(会計も含めて)が全然違うので、「ワタシ、税法の事件を数件やったことがあります」程度で税務訴訟全般の依頼を受けてしまうと、大惨事になります。

しかし、もっと重大なことがあります。それは、多くの弁護士が、全ての税務訴訟の前提である「租税法律主義」と「証明責任」を分かっていないことです。

税務訴訟で争われる課税処分というのは、国民の財産を国が強制的に奪うものなので、国家権力が濫用されたり、納税者が予期せぬ課税をされないために、法律に予め定められた場合でなければ課税できない(租税法律主義)とか、課税要件を満たしているという事実は課税庁が証明しなければならない(証明責任)とか、特殊な法理が支配しています。ゆえに税務訴訟は、普通の民事訴訟とは発想を根底から変えて戦術を組み立てる必要があるのです。でも、そんな特殊性をうまく使えばもっと楽に勝てるのに、迂遠な弁護をし、弁護がヘタなために負けかねない状況になっている。私はそのような事例を、国税審判官時代にたくさん見てきました。

さらにいえば、弁護士のみならず、実は多くの裁判官も、租税法律主義を理解できていません(納税者である皆さんのために、正直に言います。)。私は国税不服審判所で、高等裁判所や最高裁調査官経験者など名だたる裁判官の方々と一緒に働きましたが、民法の延長の感覚で拡大解釈や類推適用をしたり、法律にも判例にも学説にも無いオリジナルの法理を打ち立てたりと、租税法律主義に反する判断を平然と出していました(もちろん私は全力で止めましたが。)。皆さん頭の良い方々であるが故に、租税の世界を十分に学ぶ時間と経験が無いまま、己の手持ちの知識と経験により判断をしてしまうことが原因だと思います。

普通の民事訴訟なら、多少弁護士がヘタでも裁判官が軌道修正を試みますが、税務訴訟の場合、裁判官自身が分かっていないので、そんなことは期待できません(ですから、本来は弁護士が、裁判官にも理解してもらえるよう丁寧に誘導しながら弁護活動を行う必要がありますが、それができない場合はトンデモ判決まっしぐらです。)。

裏を返せば、納税者の方々も変な課税を受けている可能性が往々にしてある、ということなのです。

せっかく納税者(=みなさん)の保護(=不当な課税を受けないこと)にとって、非常に強いシールドとなる、『租税法律主義』という大前提があるのに、不勉強な弁護士が納税者からそのシールドを引っぺがし、裸一貫でトンデモ論理というマイナスの武器を振り回しながら突き進んでいく、こんな馬鹿な話って…残念ながらあるのです。

その④につづく…